先史から現代まで!AI時代における毒の進化と脅威を徹底解説

【先史から現代まで】毒の歴史を紐解く!文明と毒の壮絶な進化物語

人類の歴史は、文明の発展と同時に、毒との壮絶な闘いの歴史でもありました。太古の狩猟から現代の化学兵器、そしてAIによる毒の予測まで、毒は常に人類の隣に存在し、時に脅威となり、時に救済をもたらしてきました。本記事では、先史時代から現代に至るまでの毒の歴史を、時系列に沿って詳しく解説していきます。

先史時代の毒:狩猟と生存のための知恵

遥か古代、人類は生存のため、獲物を捕らえる必要がありました。物理的な攻撃だけでは仕留めきれない動物も多く、より効率的な狩猟方法が求められるようになりました。そこで注目されたのが、自然界に存在する毒です。

毒矢の誕生と世界各地の毒文化

先史時代の人々は、植物や昆虫、両生類などから採取した毒を矢に塗って使用しました。この毒矢は、遠距離からでも効果を発揮する強力な武器となりました。

例えば、「ツボクラリン」と呼ばれるツヅラフジ科植物の毒性成分は、矢に塗って動物を仕留めるのに用いられました。この毒は、呼吸筋を麻痺させる作用があり、獲物は窒息死したとされています。しかし、驚くべきことに、この毒は人間の消化管からは吸収されないため、毒に侵された獲物を人間が食べても、人体への影響はなかったと言われています。

人類は、毒の性質を理解し、巧みに利用することで、生存競争を勝ち抜いてきました。この時代から既に、毒への知識と対応策が、人類の生存戦略に不可欠な要素だったことが分かります。

この毒矢の利用は世界各地で確認されており、文化人類学者である石河元助は、狩猟武器として利用された毒をその種類によって分類しました。

  • 北アメリカ、日本、ヨーロッパにまたがる「トリカブト毒文化圏」
  • 東南アジアの「イポメア毒文化圏」
  • 西アフリカの「ストロファンサス毒文化圏」
  • 南アメリカの「クラーレ毒文化圏」

これら地域では、それぞれ特有の自然発生毒が利用されていました。この時代から既に、地域によって特色のある毒が用いられていたことがわかります。興味深いですね。

植物毒以外の利用

植物毒以外にも、昆虫や両生類などの毒が利用された形跡があります。しかし、これらの毒は有機物であるため、考古学的な資料として残ることはほとんどなく、その起源や利用方法については不明な点も多いと言えます。毒そのものは、分解して消えてしまうのに対し、武器は残る。歴史の記録に残るのは、武器と、その毒の使用法であることが多いのですね。

古代文明と毒:権力と死の影

人類の文明が発展するにつれて、毒は権力闘争や暗殺といった、より陰惨な目的にも用いられるようになりました。

古代エジプトの毒とパピルス文書

古代エジプトでは、カミガヤツリという植物から製造されたパピルス紙に、当時の社会状況が克明に記録されています。その中でも、エーベルス・パピルスは古代エジプト医学に関する最も古い文献であり、毒性学のほか、解剖学や治療薬などについて110ページにもわたる記述があります。

古代エジプトの医術書のようなものですね。現代の医学書と異なり、毒草なども含め、様々な物質を薬として扱っていたことが伺えます。当時の人々の生活と、毒との距離感、興味深いですね。

ナトリヤイオウなどの鉱物から、ケシノミなど、名前を聞いただけでも恐ろしい毒性植物についても書かれており、様々な物質を薬として高度に扱っていたことが分かります。鎮痛剤などの薬剤として用いられていたとされていますが、この時代から既にアヘンが用いられていたことにも驚かされます。

古代ギリシャと毒ニンジン

古代ギリシャでは、哲学者ソクラテスが、若者を堕落させた罪で死刑判決を受け、毒杯を飲んで亡くなったことがプラトンの著作『パイドン』に記されています。

毒ニンジンは、毒ニンジンであると認識されており、古代ギリシャでは処刑の際に頻繁に使用されていたようです。この植物は、コニインやコニンなどを含む危険な植物です。特にコニインは神経系に作用する毒で、中枢神経を麻痺させ、呼吸筋を麻痺させるため非常に危険です。

毒ニンジンは、少量でも致命的となる可能性があります。決して自己判断で摂取したり、触れたりしないようご注意ください。

古代ギリシャでは、毒ニンジンは鎮静剤や鎮痙薬としても用いられていたようですが、投与量の誤りによる危険性が高く、呼吸困難や言語障害などの重篤な医療事故を引き起こしていたようです。

古代中国と始皇帝の死

古代中国では、秦の始皇帝が莫大な費用と労力を費やし、不老不死の薬を探し求めました。しかし、不老不死の薬を求める過程で、毒性や効能不明の妙薬を摂取し続け、始皇帝は49歳という若さで生涯を終えました。

中国の毒の歴史といえば始皇帝ですよね。彼に献上された妙薬の中には、水銀のような猛毒が含まれていた可能性が高いと言われています。権力者でさえ、毒の脅威から逃れることはできなかったのです。

始皇帝に献上された妙薬の中には、水銀や砒素などの猛毒が含まれていたとされています。始皇帝の遺体からは、自然界の100倍もの水銀が検出されたそうです。

古代中国における毒関連の出来事として、始皇帝の死は非常に有名ですが、他に重要なのは神農です。神農は、多くの種類の植物を自ら舐めて薬効や毒性を検証したとされ、農薬と薬の神と崇められることもあります。しかし、あまりにも多くの毒草を服用したため、最終的にはケシの服用で命を落としたと言われています。神農本草経には、神農が発見したとされる365種類もの薬物が、毒性の強さによって等級付けされています。

  • 上品:無毒で長期服用が可能
  • 中品:毒性が弱く、薬にも毒にもなりうるもの
  • 下品:毒性が強く、長期服用は不可能

中国最古の薬物学書であり、毒の種類も詳細に記されていることから、当時の医術に大きな知見をもたらした歴史的功績と言えるでしょう。レベル99のセルフ人体実験、すごすぎだろ!

中世から近世:毒と暗殺の時代

中世になると、毒の性質が科学的に理解され始め、解毒方法についての研究なども行われるようになりました。しかし、科学的な知識が十分でなかったことや、そもそも科学に対する信頼が薄かったことから、世間に流布している薬や万能薬もどきが、毒を解毒するものではなかったようです。昔から伝わる迷信って、なかなか解けなかったのかもな。

疫病の蔓延と毒

中世は疫病の脅威に晒された時代でした。13世紀のハンセン病、14世紀のペスト、16世紀の梅毒など、多くの疫病が流行しました。特に、黒死病とも呼ばれたペストは、全ヨーロッパ人口の1/4から2/3が死亡したとされ、人類滅亡の危機となりました。コロナでも十分にひどかったけど、当時の人々は本当に人類が滅びる感覚があったんだろうな。

聖アントニウス火と麦角中毒

中世ヨーロッパで流行した疫病の一つに「聖アントニウス火」があります。この病気にかかると、手足に火が付いたような感覚に陥り、聖アントニウスの祝福がないと発症すると噂されたことから、この名がつけられたと言われています。実際は麦角による中毒で、麦に寄生する麦角菌が麦角アルカロイドという毒化合物を生成し、ライ麦パンを食べることで発症していました。初期症状は手足に熱を感じる程度ですが、最終的には血管が収縮し、死に至る場合も多くありました。割と今のパンって安全なイメージがあるけど、昔はパンにすら毒が含まれてたんだな。

薬剤師と毒薬

この時代の毒事件としては、疫病の流行以外にも、毒による暗殺が頻発しました。ルネサンス期に入ると、「アポセカリー」と呼ばれる薬剤師が登場します。アポセカリーは科学と薬理学の専門家で、高度なスキルを持っていたことから、社会において重要な地位を与えられました。しかし、薬を販売する裏で、毒や麻薬を流通させることもあったようです。毒が民間に供給され出したって事か?

毒を扱う技術が進歩する一方で、それらを検出する技術は未発達だったため、毒による殺人事件が相次ぎました。特に、砒素をベースにした化粧水「トファナ水」は、暗殺の道具として頻繁に使用されました。この化粧水は、ジュリア・トファナという毒殺者によって売られ、女性が夫を殺害する目的で使われることが多かったようです。まさか奥さんの化粧水が毒代わりになるなんて予想つかないんだぜ。

透明で味がしないように調整されていたことから気づかれにくく、嘔吐、下痢、陰部灼熱感などが現れ、経口4回の摂取で被害者は死亡しました。遅効性であるため、被害者は医師を呼んだり懺悔したりと、死の恐怖に怯えていたようです。気づかないうちに毒をもらって、気づいたときには死の一歩手前って恐ろしすぎるんだぜ。

科学的な知識に乏しかった当時、毒の噂は火の如く広まり、簡単に人を殺せ、痕跡が残らない危険物に対して人々は恐怖するようになりました。この社会的な不安は、いわば「詐欺ビジネス」を活発化させ、医師や商人たちは莫大な利益を得たようです。昔から詐欺ビジネスってあるんだな。

近づくことができない毒物への恐怖は、貴族や王族の間でも存在しました。大衆でアミュレットが流行したように、上流階級では「ユニコーンの角」と呼ばれる白物が取引されるようになります。ユニコーンってあの架空の馬だよな。

ユニコーンの角は、毒に汚染された水を浄化するとの言い伝えがあったため、高値で取引されました。実際にはサイもしくは一角獣の角だったようですが、公式に認められた資産の一部として扱われるなど、当時の社会がいかに毒殺を恐れていたかが分かります。藁にもすがる思いだったのかもな。

近現代と化学兵器:毒ガス戦争の恐怖

15世紀から16世紀にかけて、毒は政治にも大きな影響を与えるようになります。ボルジア家のイタリア貴族は、カンタレラと呼ばれる秘伝の猛毒を使って、次々とライバルを暗殺し、政治に大きな影響を与えました。毒薬の製法は門外不出だったため詳細は不明ですが、砒素化合物だったのではないかという見方が一般的です。毒の力で社会を支配するなんてかなり恐ろしい時代なんだぜ。

17世紀頃になると、犯罪に毒が用いられることが多くなり、貴族の間では暗殺が頻発したため、信頼できる人間との晩餐会にしか訪れないようになるなど、皆が疑心暗鬼の渦に飲み込まれていきました。

特に、1677年から1682年にかけて発生した「アフェール・デ・ポワソン」という一連の毒物事件は、ある殺人事件をきっかけに毒の購入者リストが露呈し、その中に王族や貴族の有力者が含まれていたことから、センセーショナルな事件となりました。結果として319件の逮捕命令が出され、36人が処刑されたとともに、アポセカリーに対しても取引の規制がかけられるようになりました。かなり混沌とした時代なんだぜ。

18世紀に入ると、ようやく毒を検出する技術が進歩し、また毒を体から排出させる方法なども登場したため、徐々に毒に対する不安が社会から取り除かれるようになりました。激動の時代だったんだぜ。

ある意味社会が毒に蝕まれたこの時代の次は、いよいよ毒による戦争が始まった近代について見ていきましょう。嫌な時代が続くんだぜ。

近現代:科学技術の発展と化学兵器

近代に入ると、自然科学が大きく発展したこともあり、それまで続いていた毒のあり方が一変します。

砒素の時代を終焉へ

金星で猛威を振るった砒素は、1836年にイギリスの化学者ジェームズ・マーシュが簡便な検出法を発見すると、15世紀から続いていた砒素の時代はたちまち終焉を迎えました。愚かな毒殺者が使用するという意味から、「愚者の毒」と呼ばれるまでになり下がってしまいました。毒にすら当て嵌まるジョーカー砒素の汎用性の高さよ!

その他にも、様々な毒が化学的に合成、抽出されるようになり多様化しましたが、近世のように特定の毒物が社会を揺るがすということは少なくなっていきました。しかし、その一方で、化学技術の発展による新たな化合物の発見などから、より強力で大量殺傷が可能な毒物が開発されるようになります。少量で多くの人を殺せるという特性上、戦争に用いられるようになっていきます。暗殺から虐殺に変わってしまったんだな。

第一次世界大戦と毒ガスの使用

1914年に第一次世界大戦が勃発すると、イギリス、フランス、ドイツなどの各国は、化学兵器の配備を始めました。初期には、クロロアセトンなどが催涙ガスとして採用され、実戦投入もされましたが、塹壕戦で戦線が膠着する中で、突破手段として、敵を短期間で殲滅できるより強力な大量殺傷用化学兵器に期待が集まるようになります。良くない方向なんだぜ。

1915年4月22日、ベルギー・イプル。ドイツ軍はフランス軍との戦闘の中で、史上初の本格的な毒ガス攻撃を行います。おう吐色の煙をフランス軍の塹壕へと流し込むと、たちまち中の兵士たちが胸をかきむしり始め、悲鳴を上げながら次々と絶命しました。使用されたのは、致死性の高い塩素ガスで、前線数百キロに渡って約170トンが放出され、結果5000人が死亡、1万4000人が中毒となりました。ものすごい死者数だな。

この途方もない威力を誇る新兵器は、当時の戦線を壊滅状態に陥れたとともに、それまでの戦争のあり方を変えるゲームチェンジャーとなりました。まもなく、毒ガス対策としてガスマスクが広く利用されるようになると、今度は吸入だけでなく、皮膚から作用する化学兵器の開発が進められるようになります。戦争が科学を発展させる最たる例だな。

そして実用化されたのが、皮膚から直接作用する糜爛剤のマスタードガスであり、1917年4月12日にドイツ軍によって初めて実戦投入されました。マスタードガスは、粘着性が高く防御が困難で、最初の使用地からイペリットと恐れられるようになりました。防ぎようがない毒ガスの中で戦うのは精神的にもきつそうなんだぜ。

もちろん、ドイツ軍の毒ガス攻撃によって壊滅的な被害を受けたイギリスやフランス軍も黙ってはいない。同じ毒ガスによって報復攻撃を実施します。やられた側も黙ってるわけにはいかないもんな。

このように、第一次世界大戦は過去に例を見ない毒ガス戦争として記録され、使用された化学兵器の種類は約30種、それによる死者は9万人、中毒者は130万人にものぼったと報告されています。こっそり毒を仕込んでいた時代が可愛く見えるんだぜ。

第一次世界大戦後の化学兵器開発競争

第一次世界大戦終結後も、化学兵器の開発競争は止まることなく、冷戦下では1952年にはイギリス、アメリカによりVXガスの開発が行われました。VXガスなどの神経剤は、先に紹介したGシリーズに続くVシリーズと呼ばれ、皮膚や呼吸器から体内へ吸収され、急速に毒性を発揮します。Gシリーズと比較してもはるかに強力であり、化学兵器の中で最も毒性が強いと言われています。地球上に存在するシリーズの中で、倫理的には最低ティアなんだぜ。

Gシリーズ級の猛毒を、持ち運びやすいものにしたAシリーズも登場し、ノビチョクとも呼ばれています。もうロシアのあの人の顔しか出てこないな。

ベトナム戦争では、ゲリラ軍に対抗するため、アメリカ軍が大規模に枯葉剤を使用するなど、その脅威は言うまでもないものとなっていました。しかし、ようやく1993年、フランスのパリにて、化学兵器の開発、生産、保有、使用を全面的に禁止した国際条約が締結され、100年近くに渡って続いた化学兵器開発競争は一旦幕を閉じました。100年も人を殺すための研究をするのって、よく考えるとやばいな。まあでも、一旦開発まで禁止する条約が締結されてよかったんだぜ。

現代の毒:新たな脅威とAIの可能性

しかし、現代社会においては、国家間の戦争ではなく、武装組織やテロリズムによる化学兵器使用の脅威が高まっています。日本では1995年にオウム真理教の信者が地下鉄サリン事件を起こし、一般市民に多くの犠牲者が出ました。死者14人、負傷者は約6000人に上り、現在も後遺症と闘う被害者も少なくありません。

この事件は、化学兵器が一般市民に使用されたという意味で、日本のみならず世界中に大きな衝撃を与え、サリンが民間レベルの小規模な施設で製造されたことからも、現代社会の新たな脅威を知らしめた事件となりました。これは社会を震撼させた大事件だったんだぜ。

毒による暗殺も後を絶ちません。2006年には、ロシアの元スパイだったアレクサンドル・リトビネンコ氏がロンドンのホテルで友人との会食後に体調を崩し、3週間後に急性放射線症候群により死亡しました。捜査の結果、体内から放射性物質であるポロニウム210が検出され、背後にロシアの関与があった可能性が高いと結論付けられています。ロシアといえば、さっきのノビチョク暗殺もよく聞く話なんだぜ。

マレーシアのクアラルンプール国際空港にて、金正男氏がVXを塗られ毒殺された事件も記憶に新しく、政治的に都合の悪い人物を毒によって始末しようとする動きは、依然として残っています。これは大昔から変わらないんだな。

また、現代における毒関連の出来事としては、薬害、公害が挙げられるでしょう。おそらくは古くから起こっていたものの、現代になってようやく重大ごととして取り上げられるようになりました。日本でさえ四大公害があったもんな。振り返ってみると、サリドマイド事件、エイズ薬害事件、水俣病、イタイイタイ病など、1世紀もたたない間に非常に多くの薬害、公害が発生し、戦後から続く世界的な経済成長の中で見過ごされてきたずさんな部分が、結果として社会が毒に脅かされる形で露呈しました。科学や医療技術の急速な発展の裏作用みたいなところもあるのかもね。

これらの公害は、利益を優先する企業の陰謀によって対応が遅れ、思いもよらない規模まで被害が拡大したケースも多くありました。また、遺伝的影響や長期間にわたる環境汚染などによって、その被害が後世に残ることもあり、いまだに過去の公害で苦しむ人もいます。

現代になってもなお、毒の脅威は衰えることなく、これからの未来においても、このリスクを避けて通ることはできません。動画の最後は、毒のこれからについてご紹介し、締めくくりましょう。毒の未来、どうなるのか気になる所なんだぜ。

AIと毒:新たな未来と倫理的課題

生成系AIが社会のあり方を変えている真っ只中、創薬研究においてもAIの活用が進んでいます。化学領域でのAI活用例としては、これまでに発見された物質の構造と特性から未知の化学物質を導き出すことに使用されており、その予測能力は人間をはるかに超えていると言われています。もしかしてAIが未知の毒を発見できるって事か?

2022年に発表された論文では、先に紹介した神経毒VXに着目し、神経伝達を阻害するとされるあらゆる化学構造のデータをAIに学習させたところ、なんと6時間で4万種類を超える致死性の分子を考案したそうです。暴走AIが未知の毒を合成してテロを起こすところまで見えてきたな、これ。

しかも、考案された分子の内には、VXよりも強力な毒性を有すると予測されるものも多数含まれていたそうです。誰でもアクセスできる化学データから、簡単に猛毒分子の構造を予測できる現状に著者は警鐘を鳴らしています。あとは実際に合成さえできればって事だもんな。

論文内では、架空の致死性分子ではあれど、実際作用する毒物を作り出すことは倫理的に問題があると述べられており、6時間で4万種類という極めて効率的に毒物が考案されたことからも、今後この技術が悪用される可能性があると指摘し、情報の公開に踏み切ったそうです。新たな毒を作る際には悪用される可能性が高そうなんだぜ。

ただ、考案できても合成の方がはるかに難易度が高く、毒生成AIがすぐに脅威になるという訳ではないようです。毒をAIで予測するという一方で、毒に抵抗する物質をAIで予測するという、抗毒として人工知能を活用する研究も進んでいるようです。今度はAIで毒を無効化する物質を予測するって事だな。

2024年にノーベル化学賞を受賞したベイカー教授が率いる研究チームは、AIによるタンパク質の3次元構造予測を用いて、ヘビ毒に含まれる毒素の一部を阻害できる新しいタンパク質を設計したと発表しました。設計されたタンパク質をヘビ毒に曝されたマウスに投与したところ、生存率が有意に上昇したそうで、毒抵抗性の効果向上のためには更なる最適化の余地があると結論付けられました。AIで毒を作り、AIで毒を解ぐうって異次元バトルになりそうなんだぜ!

まさにAIかける毒の答えは、闇と光。悪用すれば社会は毒の恐怖に支配されていた時代へ逆戻り、正しく活用すれば現代にあふれる課題を解決する大きな一歩となるでしょう。AIが暴走して毒をまき散らす世界大戦だけは勘弁なんだぜ。

すごく余談ですが、「AIに毒を盛る」という言葉が最近登場しました。AIも毒を盛られる時代か。人工知能の学習に使われるデータに毒、つまり悪意ある改ざんを施し、機械学習モデルを欺くことを「データポイズニング」と呼んでいます。AIモデルの新たな脆弱性として懸念されていますが、AIによる投与からイラストを守るという点で、あえて作品に毒を仕込むという使い方もあるようで、毒を作ったり解毒したりするAIもまた毒に蝕まれるという、ちょっと複雑な人間とAIと毒の関係図が近々見えてきそうですね。打っていいのは打たれる覚悟のあるやつだけだって誰か言ってたんだぜ。

ここまで毒の歴史を先史時代から振り返ってきましたが、結局のところ今も昔も毒が進化しただけで、人間の毒の使い方、進化どころか道徳的には退化しているのかもしれません。反対だったらいいんだけどね。進む毒と堕ちる人間。毒のこれからに一抹の不安を感じたところで本日はお別れです。長い時間ご視聴いただきありがとうございました。ありがとうございました!

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